小児皮膚科
小児皮膚科
赤ちゃんを含めた全てのお子さんを対象として、皮膚トラブルの診察と治療、そしてケアを行います。
発達途中にあるこどもの肌はとてもデリケートです。
皮膚に分泌される脂分が少ないため、乾燥してバリア機能が弱かったり、免疫力も弱く皮膚の感染症にかかりやすかったりします。そのためお子さん特有の皮膚病もありますし、成長による個人差もありますので、お一人おひとりに合った適切な治療を行うことが大切になります。
大量の発汗に伴い、汗を排出するための管(汗管)が詰まり、皮膚の中に汗がたまることで起こります。あせもは首や肘、膝の裏など皮膚と皮膚が重なり汗のたまりやすい部分に多いです。高温多湿の環境、湿布、包帯、ギプス、通気性の少ない衣類など多汗をきたす状況の時にできやすく、赤ちゃんの場合はおむつで覆われているお尻なども、注意が必要です。
汗をかかない環境で過ごすことが大切です。暑いときはエアコンで温度や湿度を調節しましょう。衣類は通気性のよい服や吸湿性のよい肌着などを選び、シャワーをこまめに浴びるなど、皮膚を清潔に保ちましょう。こまめにおむつを替えてあげることも大切です。また汗疹予防のローションやパウダーも予防に有用です。
生後2~3ヶ月頃の赤ちゃんは、ホルモンの影響などで皮脂が分泌されやすい傾向があり、この皮脂により生じる皮膚トラブルを脂漏性皮膚炎といいます。乳児期に続く慢性的な湿疹は、経皮吸収により食物アレルギーにつながると考えられており、早めに受診し正しい肌のケアや治療を行いましょう。
頭皮や額、耳の周辺、股部、脇の下など、皮脂腺(皮膚の内部にある皮脂を分泌する腺)が多い部分にできやすく、最初は赤みが出る程度です。湿疹化するとカサカサ・ジュクジュクしたり、黄色いかさぶたができたりして、痒みを伴う場合があります。
あわ立てた石鹸で優しく洗いましょう。すすぎ残しのないようにぬるま湯で十分に洗い流すことが大切です
正式には「オムツ皮膚炎」といい、非アレルギー性接触皮膚炎の一種です。オムツをつけている赤ちゃんに多く見られる皮膚疾患で、オムツの当たっている部分が炎症を起こします。「カンジダ皮膚炎」と症状がよく似ていますが、治療が大きく異なりますので、自己診断で悪化してしまう前にきちんと診察を受けて治療しましょう。
便や尿に含まれる消化酵素やアンモニアなどが刺激になります。特に下痢には酵素が多く含まれているので、下痢をしたまま、オムツを交換していないと、それだけで皮膚がかぶれることがあります。
オムツの中は汗や尿で湿気の多く、また、体温で温かくなっていて、皮膚が蒸れ、刺激を受けやすい状態になっています。また、蒸れた皮膚はバリア機能が低下して細菌が繁殖しやすくなり、皮膚炎が起こりやすくなります。
赤ちゃんの肌はとてもデリケートなので、オムツ交換のときにおしりふきでゴシゴシ拭いたり、入浴時にゴシゴシとこすり洗いをすると刺激になってしまいます。また必要以上に洗うと皮脂が失われ、かぶれやすくなることがあります。
肛門や外陰部の周辺、下腹部、太ももの付け根などに、赤み・ぶつぶつ・かさかさなどの症状が現れます。かゆみや痛みを伴うこともあり、症状が強いと表面の皮膚がただれて皮が剥けることもあります。
オムツ皮膚炎と似ている病気、カンジダ皮膚炎とは?
カンジダ皮膚炎は、カンジダというカビ(真菌)による感染症です。「乳児寄生菌性紅斑(にゅうじきせいきんせいこうはん)」とも呼ばれ、オムツ皮膚炎とは別の病気です。カンジダは普段から口の中などに存在する常在菌の一種で、皮膚や体の抵抗力が低下すると繁殖しやすくなります。皮膚のバリア機能が低下して、オムツかぶれを起こしているときは感染しやすくなるので注意しましょう。
患部の皮膚をこすり取り、真菌の有無を顕微鏡で観察する検査です。この検査により、オムツ皮膚炎、カンジダ皮膚炎を鑑別します。
排泄後はこまめにシャワーをしたり、速やかにオムツを交換することが大切です。便や尿に触れる時間を少しでも短くしてあげましょう。また、オムツは通気性がよく、サイズの合ったものがベターです。保護剤を塗っておくことで皮膚に膜を張らせて、排泄物による直接的な皮膚の刺激を軽減させれます。
正式名称を「伝染性膿痂疹」といい、こどもに多い皮膚の感染症です。原因は主に、「黄色ブトウ球菌」や「レンサ球菌」という細菌です。この細菌はめずらしい菌ではなく、常在菌といわれる皮膚や鼻の中などによくいる細菌ですが、すり傷・虫刺され・湿疹・あせもなどを掻きむしってできた傷から細菌が入ると発症します。赤く腫れたり、水ぶくれが起きたり、じゅくじゅくした状態になります。また、患部を掻いた手で他の場所の皮膚が傷ついた部分に触れると、同じような発疹が全身に広がります。感染力が強く、他の人にも感染しますので、保育園や幼稚園などの集団生活では特に注意が必要です。
とびひは、基本的に問診と視診による診断が可能です。必要に応じて、細菌の種類を調べる細菌培養検査や炎症の程度を調べる血液検査を行うこともあります。
抗菌薬の入った外用薬、抗生剤の内服薬が主な治療です。症状に合わせて、外用薬のみ、もしくは外用薬と内服薬の両方を使用します。痒みが強い場合には、抗ヒスタミン薬(かゆみ止めの薬)を用いる場合もあります。
水疱ができたり、じゅくじゅくしている部分は、石鹸をよく泡立ててやさしく洗い、シャワーで充分流すようにしましょう。湯船は控えます。軟膏を塗ってガーゼをテープで固定して患部を覆います。傷にならないよう爪は短く整えます。タオルや衣類からうつる可能性もあるため、家族との共用は控えてください。洗濯は一緒にしてもかまいません。とびひが治るまでプールや水遊びなどは控えてください。
正式名称を「伝染性軟属腫」といい、皮膚に伝染性軟属腫ウイルスが感染してできるイボです。最初は粟粒状の発疹ができ、しだいに大きくなって表面がツヤツヤしたやわらかいイボができます。放っておくと皮膚の表面で感染が広がり、徐々にイボの数が増えていきます。アトピー性皮膚炎のあるお子さんの場合、湿疹と混ざって急速に拡大悪化することがあります。
特殊なピンセットを用いて、水イボをひとつひとつ摘まみ取る方法です。少し痛みを伴いますが、最も確実な治療法です。痛みに弱いお子さんは、麻酔のクリームを用いて痛くなく治療を行うこともできます。湿疹が伴っている場合は湿疹をかきむしることで、水イボが広がることが多いのでまず外用治療も行う場合もあります。
水イボは自然緩解するといわれておりますが、どんどん数が増えたり、プールに入れないこともありますので(ほかの子にうつしてしまうため)、その子にあった治療法を選択していきましょう。